WBCは、参加したい選手が参加できるべき

犬山 翔太
 
 2012年7月20日、日本プロ野球選手会が第3回WBCの不参加を決議した。
 これまで求めてきた日本代表のスポンサー権、ライセンシング権を譲渡してもらう要求が認められなかったからだ。
 現在、選手会の不参加決議は、日本の金銭的利益のみを考え、国際的視野や波及効果を欠いた理論である。それに加えて、根強く日本国民に残るアメリカ至上主義への反発も、味方につけている。

 現状のまま、出場した場合、どのようなプラス面とマイナス面があるかを考えた場合、その内容は多岐にわたる。

参加した場合のプラス面
テレビ放映による話題性の向上
ペナントレースへの人気波及効果
大リーグに比較すると少ないが、収益を得られる
国際貢献(世界普及・五輪正式種目復活への足掛かり)
異文化の吸収による技術向上

参加した場合のマイナス面
参加した選手に故障時の保障がない
疲労と調整不全によるペナントレースへの悪影響
労力に見合う収益がない
敗退した場合の激しい国内批判を受ける


 このように、金銭面の外に目を向けてみると、日本プロ野球界に還元される効果は大きい。
特に世界一に輝いた場合、国民の注目度、メディアでのとりあげられ方、テレビ視聴率、ペナントレースへの人気波及効果など、日本プロ野球にとってプラス面の方が圧倒的に大きい。
 仮に第1ラウンドで敗退した場合は、国民から多少の失望を受けるだろうが、選手の負担も小さく済むため、マイナス面を小さくできる。

 日本プロ野球選手会は、組織としての不参加ではなく、あくまで個人の選手としての判断に任せるべきである。
日本プロ野球から選手を派遣しなかったとしても、日本代表は、おそらく構成されることになる。独立リーグやアマチュア野球界に日本人大リーガーを加えた選手たちで日本代表を作っても、日本プロ野球界とはそう大きく劣らない選手団が構成できるはずである。
 だが、そのようなチームでは、敗退した場合、日本プロ野球界が今度は国民から大きな批判を受けるはずである。

 現在、日本のプロ野球選手のコメントを集めると、WBCに参加したい意向の選手もかなりの数にのぼる。賛否両論ある中で、プロ野球選手会が全選手の不参加を決議するのは、選手の自由を奪ってしまう。そんな政治的判断で、1回きりのチャンスしかないかもしれない選手の出場権利を奪う連帯責任の考え方は改めるべきだ。
 参加希望の選手は、WBCに参加できるような配慮が必要である。




(2012年7月作成)

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