クライマックスシリーズ第2ステージを白熱させるために
〜過密日程による投手負担の軽減を〜


犬山 翔太
 
 1.第2ステージであっさり決着がついた要因

 2009年は、巨人と日本ハムが日本シリーズに進出し、巨人が7年ぶりの日本一に輝いた。2002年も圧倒的な戦力によっての日本一だったが、2009年はさらに補強して盤石の強さを誇った。
 しかし、ペナントレース終盤から日本シリーズにかけての盛り上がりは、いま一つだった感は否めない。特にクライマックスシリーズの第2ステージであっさり決着がついてしまったのは意外だった。
 巨人が、中日に対してアドバンテージの1勝を含めて4勝1敗、日本ハムも、楽天に対してアドバンテージの1勝を含めて4勝1敗である。

 確かに、巨人も、日本ハムも強いチームであることにはちがいない。だが、試合の状況を見てみると、それ以外に決着がつきやすくなる要因があったためでもある。
 まずは1勝のアドバンテージが挙げられる。これについては、長いペナントレースで1位になったのだから、当然必要と考えてしかるべきである。しかし、2位と3位の間にアドバンテージがない。
 これは、私が以前から指摘したことではあるが、2位が大きな差をつけた3位との対戦でアドバンテージ無しで戦うということは、第2ステージに進めたとしてもかなりの負担となる。1位が2位に対してアドバンテージの1勝がもらえるのに、2位が3位に対してアドバンテージ1勝をもらえない、という制度は、つじつまの合わない欠点を抱えているわけである。

 さらに、問題になるのは、あまりにも過密になっている試合日程である。この試合日程の厳しさがクライマックスシリーズ第1ステージを勝ち上がり、第2ステージに進んだ球団にとって、大きなマイナスとなっているのだ。
 そうした要因を見ていくと、2009年のクライマックスシリーズの結果は、かなりの確率で結果が最初から見えていたと言わざるを得ない。


2.過密な日程に苦しむ先発投手

 2009年、セリーグのクライマックスシリーズは、10月17日から10月19日までの3試合である。
 第1戦でヤクルトが勝ち、第2戦で中日が勝ったため、第3戦にもつれこんだわけだが、そのせいで中日は、中1日でクライマックス第2ステージへ挑むことになった。
 セリーグのクライマックスシリーズは、次のような過密日程となったのである。

セリーグ クライマックスシリーズ 第1ステージ
日程 試合 スコア 先発
10/17 中日−ヤクルト 2−3 チェン−石川
10/18 中日−ヤクルト 3−2 吉見−館山
10/19 中日−ヤクルト 7−4 中田−由規

セリーグ クライマックスシリーズ 第2ステージ
日程 試合 スコア 先発 中日登板間隔
10/21 巨人−中日 2−7 ゴンザレス−小笠原 −−−
10/22 巨人−中日 6−4 オビスポ−チェン 中4日
10/23 巨人−中日 5−4 高橋尚−吉見 中4日
10/24 巨人−中日 8−2 東野−中田 中4日

 中日は、第2ステージをチェンから先発させるには中3日になるため、第1戦に小笠原を持ってきて、第2戦にチェンを中4日で先発させて、吉見・中田と中4日で続けた。
 これは、朝倉の状態が万全でなく、使えなかったという要素こそあるものの、結果的には中4日の影響がもろに出て、中日は、第2戦から巨人に3連敗を喫するのである。
 逆に巨人は、休養十分で試合に臨み、第1戦こそゴンザレスの不調で落としたものの、第2戦以降も通常のローテーションで戦うことができた。

 日本では、投手は、中5日のローテーションで回しており、シーズン中に中4日で先発するという事態は、よほどのことがない限りありえない。特にシーズンのペナントレースがクライマックスシリーズ進出を決めるための戦いという意味合いが強くなって、シーズンの優勝争いで投手を中4日で酷使する起用も減少しつつある。
 それが逆にクライマックスシリーズでは、過酷な日程を勝ち抜くために中4日で投手を起用せざるを得ない事情を作り出してしまっている。わずか1日の違いではあっても、投手には繊細な感覚が必要であり、好投手であっても、中4日で起用すると崩れてしまう現象は多いのである。

 逆にパリーグは、セリーグに比べて恵まれた日程となった。第1ステージは、10月16日から17日にかけての2試合で楽天が連勝して終わり、第2ステージまで中3日開いた。
 さらに、楽天投手陣3本柱の一角である永井が第1ステージで温存できたため、第1戦に永井が先発して、第2戦から中5日で岩隈・田中と続けるほぼ理想的な形を作れたのである。

パリーグ クライマックスシリーズ 第1ステージ
日程 試合 スコア 先発
10/16 楽天−ソフトバンク 11−4 岩隈−杉内
10/17 楽天−ソフトバンク 4−1 田中−ホールトン

パリーグ クライマックスシリーズ 第2ステージ
日程 試合 スコア 先発 楽天登板間隔
10/21 日本ハム−楽天 9−8 武田勝−永井 −−−
10/22 日本ハム−楽天 3−1 糸数−岩隈 中5日
10/23 日本ハム−楽天 2−3 八木−田中 中5日
10/24 日本ハム−楽天 9−4 藤井−藤原 −−−

 しかし、第1戦で永井が好投しながらも、守護神福盛が日本ハムのスレッジに逆転サヨナラ満塁本塁打を浴びるというまさかの敗戦を喫して、第2戦でも岩隈で敗戦を喫したため、楽天の第2ステージ制覇は幻と消えたが、仮に第1戦で岩隈が中5日で先発出来る日程になっていれば、先発完投勝利を挙げて楽天が第2ステージ制覇というシナリオが容易に描けたはずである。
 逆に現状の日程で無理をして岩隈・田中を第1戦・第2戦に中4日で先発させていたとしたら、やはり中4日の影響が色濃く出る結果を生んでいた可能性が高い。
 現在の日程であれば、第1ステージの勝者が万全のローテーションで第2戦を迎えるためには、先発に中3日か中4日を強いるしかないのだが、それは、やはり投手の選手生命を考慮すると、避けるべき選択である。


 3.投手が万全の状態で臨めるクライマックスシリーズ日程を


 大リーグは、日本ほど日程が過密ではない。3戦先勝制の地区シリーズ、4戦先勝制のリーグ優勝決定シリーズ、そして4戦先勝制のワールドシリーズと約1ヶ月かけて行う。
 2009年に世界一となったヤンキースは、地区シリーズ、リーグ優勝決定シリーズ、ワールドシリーズのすべてに第1戦は、エースのサバシア、第2戦は、バーネット、第3戦はペティットが先発のマウンドに上がっている。大リーグは、シーズン中から中4日が基本にあるとはいえ、こうしたローテ通りの戦いをどのシリーズでも行えるのは日程の良さによるものである。

 それが2009年の日本のクライマックスシリーズでは、第2ステージが中日は4番手投手、楽天は3番手投手の先発で幕を開けなければならなかった。クライマックスシリーズ進出争い、クライマックスシリーズ第1ステージ、日本シリーズに比べて、クライマックスシリーズ第2ステージがあっさりとした結果になって物足りなさが感じられたのは、過密な日程が大きく影響したと言わざるを得ない。

 中日、楽天ともに、第2ステージでは万全の投手起用ができずに敗れ去ったことから見えてくるのは、第1ステージを勝ち抜いたチームの投手がクライマックスシリーズを万全の状態で試合に臨める日程づくりが最重要課題ということである。
 クライマックスシリーズの第1ステージ第1戦からクライマックスシリーズ第2ステージ第1戦までの間隔を中5日にすることが重要である。そうすることによって、第1ステージの勝者は、第2ステージ第1戦でエースを先発させて、2番手、3番手とローテーションの順番に先発させていくことができる。
 そうすることによって、第1ステージの勝者は、第2ステージの戦い方のプランが立てやすくなり、第2ステージも白熱した試合が見られるようになる。
 さらに言うならば、第2ステージは、最大第6戦まであるため、その第6戦から日本シリーズ第1戦までの間隔も、中5日にするのが理想である。






(2009年12月作成)

Copyright (C) 2001- Yamainu Net 》 伝説のプレーヤー All Rights Reserved.


inserted by FC2 system