2018年2月のコラム

犬山 翔太
 
 @松坂大輔には、平成の最後に「平成の怪物」ぶりを見せてほしい

2018年02月03日

 松坂大輔の怪物ぶりを示す成績は何か。

 そう尋ねられたら、私は、WBC2大会連続MVPと答える。
 おそらく、今後、WBCで2大会連続MVPに輝く選手は、現れないだろうからだ。

 2006年、2009年のWBCは、日本が連続して世界一となった。2大会ともにイチローが出場して活躍したこともあって、イチローが殊勲選手のような扱いをされていた。だが、実際は2大会連続MVPの記録が示すとおり、松坂大輔の活躍が最も大きかった。

 松坂が「平成の怪物」と呼ばれるようになったのは、1998年である。春の選抜で圧倒的な投球を見せて優勝すると、夏の甲子園でも決勝でノーヒットノーランを達成して優勝する。
 私は、この試合をテレビで観戦していた。全く打たれる気がしなかった。
 高校3年生投手としての完成度は、間違いなく平成ナンバー1であった。

 西武に入ったプロ1年目も、16勝5敗、151奪三振、防御率2.60の成績で最多勝を挙げる活躍を見せる。
 高校生で怪物と呼ばれた松坂は、プロでも怪物の名を欲しいままにする。
 プロ入り後、3年連続最多勝をはじめ、4度の最多奪三振、2度の最優秀防御率を残すのだ。

 そして、2006年に17勝5敗、200奪三振、防御率2.13の成績を置き土産に、大リーグのレッドソックスに移籍。
 レッドソックスでは1年目に15勝12敗、2年目は18勝3敗と、大リーグでも怪物ぶりを見せる。
 2010年までの松坂大輔は、まぎれもなく「平成の怪物」だった。
 大リーグのマウンドやボールが合わなかったのか、制球を乱す場面が増え、故障もしてしまった。仮に、ずっと日本のプロ野球でやっていれば、とっくに通算200勝を達成していただろう。そういう次元の投手なのだ。

 2011年にトミージョン手術を受けてからは怪物ぶりがなかなか見られなくなったため、最近の松坂しか知らない人々は、なぜここまで松坂が話題に上がるのか、疑問を抱くかもしれない。

 しかし、万全の状態で開幕を迎えれば、再び怪物として輝く可能性がある。それを、ファンは、どうしても期待してしまう。

 2017年に岩瀬を復活させた中日は、松坂にとっては最適な球団である。トミージョン手術をした吉見を中10日で起用するなど、サポートを重視した選手起用にも定評がある。

 無理して故障しないか。球威がどこまで戻っているか。制球力がどこまで戻っているか。
 まだまだ不安は多いが、平成の怪物は、平成の最後に怪物ぶりをいかんなく発揮してもらいたい。


 Aようやく充実してきた2018年の中日投手陣

2018年02月18日

 昨年、一昨年の中日は、優勝を狙える戦力に見えなかった。
 今年は、ここ2年に比べて期待が持てる投手陣になったように感じる。

 森繁和監督が2年目を迎え、ようやく投手陣が整ってきたように見えるからだ。
 森監督は、先発ローテーションを2組分準備するのを理想としている。
 5人でローテーションを回すとするなら、10人の先発投手を準備するのだ。

 1軍で先発を任せられる投手を10人準備するのは、至難の業である。だが、その準備が整えば、優勝を狙える戦力になる。
 野球は、先発投手が最も重要で、勝負の大半は先発投手の出来で決まる。

 今年の中日は、松坂大輔の加入に注目が集まっているが、先発投手の充実はもっと注目すべきである。

 ジー、小笠原慎之介、大野雄大、吉見一起、又吉克樹、鈴木翔太、笠原祥太郎、松坂大輔、柳裕也、山井大介、ガルシアと、1軍で先発できる投手が11人揃ったからだ。

 森監督は、5〜6勝できる先発投手をいかに多く作れるか、を念頭に置いて投手陣を整備しているようである。
 上記11人のうち、仮に2桁勝利を挙げるエース級が2人いて、5〜6勝を挙げる投手が5人くらい出てくれば、リーグ優勝に大きく近づく。

 今後、故障者や不調者が出て、思うようにはいかない時期も来るだろうが、ここ2年に比べれば、かなり期待が持てる投手陣である。


 B日本のプロ野球にも早くタイブレーク導入を

 2018年02月25日

 大リーグでオープン戦の10回以降タイブレーク導入案が却下された。
 大リーグでは最近、タイブレーク案がよく議論されている。想定外の延長戦で選手の体に負担がかかるのを避けるには、有効な制度である。
 しかし、これまでの野球のルールを大きく変えてしまうため、実現には時間がかかりそうである。

 私としては、10回以降のタイブレーク導入には賛同である。リリーフ投手の選手寿命を考慮すれば、導入した方が選手のためになるからだ。
 勝つために、調子のいいリリーフ投手を2回、3回と引っ張らざるを得ない状況を避けることができる。

 今後、タイブレーク案は、まず大リーグがオープン戦で導入を実現するところから始まり、いずれは公式戦には導入、その後、日本プロ野球が導入という流れになっていくだろう。

 タイブレーク案が導入されれば、リリーフ投手の防御率をどうするかも気になる。
 あらかじめ、ランナーが2人出ているとするなら、そのランナーがホームへ還ってきても、自責点とならないよう配慮が必要である。
 自責点0で敗戦投手となってしまうのは、少しかわいそうな気もするので、それらも契約更改で考慮する必要が出てくる。
 
 タイブレークを10回以降に導入するのか、9回以降に導入するのかも議論のしどころである。
 9回は、先発投手が完封を狙う機会もあったりするので、9回への導入はさすがに反対だ。
 導入するなら10回以降で検討してもらいたいものである。

 高校野球では今春のセンバツから延長13回以降、無死1、2塁から攻撃が始まるタイブレークが導入される。
 高校野球こそ、延長10回から導入してほしいところだが、なかなか急には変えることが難しいのだろう。
 高校野球で延長10回からの導入が始まれば、大リーグよりも早く日本プロ野球で導入が検討されるかもしれない。
 いずれにせよ、野球界で今後、このような働き方改革が起きそうである。




(2018年2月作成)

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