@サファテのシーズンセーブ記録は、大差をつけられない打線の産物
2017年09月08日
9月5日、デニス・サファテ投手がオリックス戦でシーズン47セーブを記録し、岩瀬仁紀と藤川球児の日本記録を塗り替えた。
この時点で5位日本ハムのチーム勝利数が45勝、6位ロッテが41勝。いかにサファテの記録がすさまじいか、分かるだろう。
楽天の失速でソフトバンクが独走状態となり、9月5日の時点で既に83勝を挙げて、貯金も40を超えている。
これだけ強いと、さすがに大差の試合が増えて、なかなか47セーブまで積み上がらないものだが、今年のソフトバンクは、接戦をものにする試合が多い。
たとえば、7月は15勝5敗と、一見圧倒的な成績を残しているように見えるが、このうち3点差以内で勝った試合は12試合にのぼる。そのうち11試合でサファテがセーブを挙げているのだ。
8月も同様の状況が続き、17勝8敗だが、3点差以内の勝利が13試合あり、サファテは11セーブを挙げている。
今シーズンは、サファテが先発投手陣の早期降板に苦言を呈したように、僅差の試合でリリーフに大きな負担がかかっている。
だからこそ、ここまでサファテのセーブ数が伸びたとも言える。
仮にサファテが日本ハムやロッテに所属していたら30セーブすら危うい状況になっていたであろう。
また、仮に大差で勝つ試合が多ければ、セーブ数は伸びない。
広島は、7月に15勝7敗のチーム成績を残しているが、3点差以内で勝った試合は5試合にとどまる。
このようにセーブ数は、チーム状況に大きく左右されるのだ。
岩瀬仁紀は、シーズン40セーブ以上を5回も記録している。岩瀬が所属する中日は、広いナゴヤドームを本拠地とし、投手を中心とした守りの野球を作り上げ、結果として岩瀬のセーブ数が伸びた。
今年のソフトバンクの状態を見ると、サファテの記録は、まだまだ伸びて50セーブを大きく超えそうである。
そうなると、サファテの記録を抜くためには、投手力が圧倒的で、打力がほどほどに良く、接戦に持ち込んでリードして9回を迎えるスタイルのチームに所属しなければならない。
こうして見てみると、サファテが苦言を呈した先発投手陣の早期降板は、大差をつけられない打線にも問題があると言わざるを得ない。むしろ、大差をつけられないからこそ、早期に継投に入らざるを得なかったという要素が大きい。
サファテのシーズンセーブ記録は、環境が作り出した奇跡でもある。バレンティンのシーズン本塁打記録以上に、なかなか超えられない記録となりそうである。
A両チームがやってはならないことをし続けた試合の結末
2017年09月17日
引き締まった投手戦や壮絶な打撃戦も面白いが、両チームがミスばかりを犯し続ける試合もまた面白い。
しかし、問題は、面白いこと以上に、疲れがたまる。試合時間も長い。
2017年9月9日の中日×広島戦は、まさにミスのオンパレード。
どちらのチームも隙ばかりを見せ合うような展開で、どちらも負けてしかるべき試合だった。
私は、たまたま観戦バスツアーに当選して、その試合をナゴヤドームで観た。
試合は、プロ初先発の中日三ツ間。緊張したのか、先頭の田中を四球で出す失態を犯す。すると、それを逃さない広島は、四番松山がセンター前タイムリー放って、理想的な形でリードを奪う。
三ツ間は、2回にも8番野間を四球で出して、盗塁を許す。8番で切って次は9番の投手からといういい流れが作れない。しかも、9番の投手岡田にセンター前タイムリーを浴びる。出してはいけないところで四球を出し、打たれてはいけない投手に打たれる。
中日にとっては、もはや最悪の展開である。中日の負け試合だ。
私は、この時点で中日の負けを確信したが、その後、広島も、様々なミスを犯していく。
まずは2回の裏、岡田が投手の三ツ間を四球で歩かせてしまう。そして、京田にタイムリー二塁打を浴びる。さらには、亀澤のセカンドゴロを安部が失策し、中日が3−2と逆転するのだ。
これで、流れは、広島にとって最悪の展開となった。広島の負け試合だ。
そんなどちらが負けてもおかしくない状況で三ツ間は、4−2とリードして迎えた5回表に先頭打者の田中を四球で歩かせる。しかし、盗塁失敗。
そして、次の安部も四球で出すが、盗塁失敗。
流れは、中日である。
しかし、三ツ間は、あきれたことに、丸も四球で出してしまう。
そこで四番の松山が三塁打を放って1点を返し、4−3となる。
広島は、3点入っていてもおかしくない場面で1点に終わった。
もはや泥仕合の様相である。
こうなると、試合を決するのは、エラーか一発か。
6回裏、松井がショートゴロエラーで出塁し、京田のレフト前タイムリーで5点目が入る。
ここまで来ると、さすがにエラーを重ねている広島が負けそうな気がしてくる。
しかし、この試合は、一筋縄ではいかない。広島には、リーグ優勝のマジックが1桁という勢いがある。
7回表、中日は谷元が3本の安打を浴びた後、岩本にストレート一辺倒の投球に終始し、3ボールにした後、5球目のストレートを逆転3ラン本塁打されてしまう。
これにより、スコアは、5−7。
ここから広島は、自慢のリリーフ陣が機能してリードを守っていく。一方の中日は、8回にさらに2失点を喫して勝負の趨勢が決した。
中日投手陣は、11被安打、11四死球。一方の広島も、5四球に、3失策。
こういう両チームにミス続出の試合は、チームの総合力が高く、勢いのある方が勝つ結果となった。
中日も、かつての投手王国はどこへやら。11四死球なんてありえないし、ナゴヤドームで7〜9回の2点リードを守れないのは落合監督時代にはほとんどなかったことだ。
平井・岡本・岩瀬、あるいは、高橋・浅尾・岩瀬が盤石であった時代は、同点で7回に入れば勝てていた。
中日は、投手陣の立て直しが急務である。
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