2017年8月のコラム

犬山 翔太
 
 @岩瀬の950試合登板は不滅の記録か

 2017年08月19日

 2017年8月6日、岩瀬仁紀投手が通算950登板を達成した。
 米田哲也の949試合を40年ぶりに抜いて、プロ野球新記録である。

 メディアでは不滅の記録のように語られている。現役で2位の五十嵐亮太が8/18現在747試合であることを考えると、超えるのは困難であろう。しかし、五十嵐は、大リーグで83試合に登板していて、日米通算にすると830試合に達する。
 日米通算でなら950試合が現実味を帯びている。

 950試合の記録は、いずれ到達する者が出てくるだろう。金田正一の400勝のように、不滅と言える記録ではない。

 なぜなら、リリーフ投手が現役生活をリリーフだけで過ごす考え方が主流になったのは、まさしく岩瀬が入団した頃だからである。
 それ以前の時代であれば、岩瀬ほどの成績を中継ぎや抑えで残していれば、先発に転向させられた時期があっただろう。

 しかし、現在は、リリーフだけで現役を全うする選手も増えてきた。そうなると登板試合数は増える。最近は選手寿命が延びていることを考慮すると、岩瀬の登板数は、たとえ1000試合に達したとしても、今後抜かれる可能性は高い。
 抜かれる可能性が低いのは、むしろセーブ数の方だろう。クローザーは、1チーム1人であり、過酷なポジションであるがゆえに、長年続けることは極めて困難である。

 そもそも、岩瀬は、高卒選手としてプロ入りしたわけではない。大学、社会人を経てプロ入りしている。25歳になるシーズンにプロ入りしており、プロ1年目から活躍したものの、高卒選手に比べれば6年間分遅れをとったことになる。

 それでありながら、プロ入りした1999年から2013年まで15年連続で50試合以上に登板するという鉄腕ぶりでプロ入り19年目にして950試合登板を達成したのである。

 仮に高卒投手が岩瀬の年齢まで現役を続けるとしたら年間38試合登板すれば、25年目で950試合に届く。
 400勝であれば、年間16勝を25年間続けなければ到達できないから、到達はほぼ不可能なのだが、950試合なら実現可能に見える。

 無論、リリーフ投手は、選手寿命が短いと言われており、10年以上第1線で活躍できる選手は数えるほどである。それでも、投手の方が動体視力の衰えに左右されることが少ない分、長く現役生活を続けられる。

 これからは、まずます投手寿命が延びて、40代後半の投手も珍しくない時代が来るだろう。
 そうなれば、岩瀬の通算登板も、いずれは超えていく選手が現れそうである。




(2017年9月作成)

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