2017年5月のコラム

犬山 翔太
 
 @想定外の結果を残し続ける中日投手陣をどう立て直すか

2017年05月06日

 今年の中日は、苦戦するのを想定していたが、想定以上の苦戦が続いている。
 5月に入ってもいまだ勝ち星なし。4月30日から6連敗という惨憺たる成績である。

 投攻守ともに精彩を欠いており、立て直しが急務なのだが、立て直すだけの人材がいるかといえば、いないのが現状である。

 敗戦が込むと、どうしても打てないことに目が行き、ビシエド、ゲレーロ、平田の不振がやり玉に上がるのだが、打線は水物であるから、やはり投手陣の立て直しから始めるべきだろう。

現状で、中日投手陣の主な成績を挙げてみると、次のようになる。

<先発>
又吉克樹 2勝0敗1H 防御率2.02
バルデス 1勝1敗   防御率2.03
ジョーダン1勝0敗   防御率2.28
吉見一起 0勝4敗   防御率4.70
大野雄大 0勝3敗   防御率5.54
若松駿太 0勝3敗   防御率6.75
<中継ぎ>
佐藤優   1勝0敗2H 防御率0.87
三ツ間卓也 2勝1敗7H 防御率2.35
岡田俊哉  0勝1敗2H 防御率3.60
岩瀬仁紀  0勝3敗5H 防御率4.66
祖父江大輔 1勝1敗5H 防御率5.02
<抑え>
田島慎二  1勝1敗3H7S 防御率2.70

 又吉、バルデス、ジョーダンは、充分に合格点を与えられる成績である。

 それに対して、吉見、大野、若松の3人がひどい結果となっている。当初は、この3人がローテの軸になると想定していたにもかかわらず、何と3人で0勝10敗という結果が残った。この3人なら最低でも五分だろうと首脳陣は計算しただろうが、まさかの借金10であり、それがそのままチームの借金となっているところから見て、ここの立て直しが重要となる。

 実績があるので、復調するまで待ちたい気持ちはあるが、プロであるからには結果で判断すべきであり、現実的には3人とも再調整が必要な状況である。
 代わりには小笠原や柳、鈴木らがおり、佐藤も先発可能であるから、そのあたりを抜擢してもらいたいものである。

 中継ぎも、実績のある岡田、岩瀬、祖父江が不安定であり、調子を見極めたうえで、不調なら1軍起用を行わない方針をとってもらいたい。2軍で防御率の良いアラウホ、ロンドンは外国人枠の関係で起用が困難だが、若手で福や丸山、笠原らが好調なので彼らを起用して通用するかどうか試してほしい。
 春先は、選手たちを試す時期なので、長い目で見て我慢すべきというのは分からぬでもないが、我慢しすぎると浮上するのが困難なところまで落ちてしまうので、弱いチームは長く我慢することは禁物であろう。

 今年は、リーグ優勝するには、チームの総合力がまだまだ不足していることがある程度分かってのスタートである。
 リーグ優勝は困難であっても、やりくり次第ではAクラスに入ることは可能である。
 何とか投手陣を立て直して、踏みとどまってほしい。


 A又吉先発転向 試してみることは大切だ

2017年05月27日

 やってみなければわからないものである。
 又吉克樹の先発転向は、てっきり失敗に終わると思っていた。
 ファンの間でも、本格派の投球が期待できる福谷は、先発に向いていて、サイドスローの又吉は、リリーフ向きなのではないか、と言われていた。
 私も、又吉は変則的な投げ方をするだけに、先発投手が投げた後に、ギャップが大きさを生かす短いイニングのリリーフ登板の方が向いていると感じていたからだ。

 ところが、福谷の先発転向は成功せず、又吉の先発転向が成功しようとしている。
 現在のところ、3勝無敗、防御率2.10である。

 リリーフで力まかせに球威ある直球と切れ味鋭いスライダーを投げ込んで三振を狙い、1イニングを全力で抑えにいく投球を見ていた私としては、先発になってからのスタイルはまさに別人に見える。

 落ち着いたマウンドさばきで、力任せには投げず、コントロール重視で三振よりも打たせて取る投球に切り替えているからだ。緩急の使い方も抜群に上手くなって、何年も前から先発として活躍している投手のような投球術を見せている。

 まだ、巨人戦や阪神戦、交流戦での先発経験がないため、シーズンが終了した時点でどれほどの成績が残っているかは想像がつかない。だが、現在の安定感を見れば、充分に2桁勝利はクリアするのではないかと思う。

 又吉は、独立リーグでは、先発投手として抜群に安定した成績を残していた。それだけに、今にして思えば、プロで先発として成功するのは驚くべきことではないのだが、今年の春に先発転向がニュースになったときは、首脳陣はいったい何を考えているのか、と思ったものだ。

 又吉がいなくなれば、8回を投げる投手がいなくなる。ますます勝てなくなるのではないか、と心配したが、現在は三ツ間が台頭し、岩瀬も8回に投入できる状態であり、うまく回り始めている。

 試してみることは大切である。
 ついつい、現状が最善という考え方をしてしまい、又吉はリリーフ向きという凝り固まった考えでいたが、実はリリーフよりも先発向きだった、という結論になりそうだ。

 先発は、又吉、バルデス、ジョーダン、吉見が固まりつつあり、あと小笠原、柳、大野、鈴木のうち誰か2人が安定した投球を見せてくれれば、ローテーションが固まる。

 又吉がこのままの状態を維持できれば、久しぶりのAクラス入りも現実味を帯びてくる。





(2017年5月作成)

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