@低い下馬評を覆してもらいたい
2017年04月01日
今年のプロ野球が開幕した。
中日は、多くの評論家が相変わらず最下位か5位という低い下馬評である。
私の予想は、今年こそ6年ぶりのリーグ優勝という例年どおりの予想だが、さすがに開幕2試合を見ていると不安の方が大きくなる。
巨人は、「爆買い」と揶揄されるほどの補強をしただけに、少々故障者が出ても高い戦力を維持できる。
代打で出てくる選手が四番クラスとなると、さすがにリーグ優勝争いには絡みそうだ。
各チーム意気軒高なだけに、面白い試合がしばらくは続くだろう。
中日も開幕から連敗し、ついつい悲観的になってしまいがちだが、まだシーズンは始まったばかりである。
思わぬ選手が台頭してチームを牽引したり、序盤に独走していたチームが交流戦で大失速したり、長いシーズンの中ではいろんなことが起こる。
シーズンをトータルで考えて、1試合1試合の結果だけで一喜一憂しないことも重要である。
1年を通して安定した成績を残すには、まず投手力である。リーグナンバー1の投手力を整えてしまえば、めったなことで下位に沈むことはない。
それだけに、中日がオープン戦から投手陣に安定感がないところを早く立てなおすことが必要である。
エースの大野は、開幕戦から早くもコントロール面の不安をさらけ出し、2試合目では田島がクローザーとしての精神面が不安になる結果を出してしまった。
まずは先発ローテーションの確立ということになってくるが、大野、吉見、バルデス、若松、ジョーダン、八木、小熊、山井の中から好投を続けた投手はローテーションに残り、不振の投手は脱落していくことになるだろう。
安定感の増している岡田、祖父江がリリーフの中心となり、実績のある田島、浅尾、岩瀬が厳しい場面を切り抜け、三ツ間や小川がワンポイントできっちり抑えてくれるなら、安定した成績が望めそうである。
現在、出遅れている小笠原や柳、福田らが徐々に戻ってきて、彼らが本来の力を発揮してくれれば、上昇も望める。
3月、4月で大きく勝ち越すことは望めそうにないが、せめて5割か5割に限りなく近い成績を残してほしいものである。
A田島がクローザーに定着するために
2017年04月08日 21:06
スポーツにおいてメンタルを強く持つことは最も大切だ。
「心技体」と、心が一番最初に語られるのもそのためだろう。
しかし、メンタルを鍛えるのは、ことのほか難しい。
屈強な格闘家でさえ、それまで連勝が続いていたのに、1回敗れた途端、以前では考えられない戦いぶりで連敗してしまうことも多い。
敗れたことによる精神的なダメージを引きずってしまい、次の試合でも恐怖心が前に出てきて、連勝中の戦い方ができなくなってしまうのだ。
プロ野球でも、打ち込まれた投手は、なかなかメンタルを立て直すことができないものだ。
今年は、中日の田島慎二がクローザーとしてスタートしたものの、2試合連続で打ち込まれてしまった。
特に2試合目の登板となった4月5日の広島戦では1アウトから2者連続で四球を出すなど、明らかな動揺が見られ、コントロールが乱れていた。
3試合目のDeNA戦では抑えたものの、中日は、クローザーに不安を抱えたまま、しばらく戦うことになる。
田島は、1年目から1軍で活躍したプロ6年目で、昨年はクローザーを務めており、それなりに経験を積んできた投手である。
それでも、1回調子を狂わせてしまうと、なかなか思いどおりの投球ができなくなってしまう。
中日ではどうしても、かつて絶対的なクローザーであった岩瀬仁紀と比較してしまう。岩瀬の全盛期は、1回リリーフに失敗しても、次の登板では何もなかったかのように抑えてくれた。消えるスライダーとともに、終わったことを引きずらない、というクローザーとして最も大切なものを兼ね備えていた。それなので、年3回程度しかリリーフに失敗せず、安心して見ていることができたのである。
田島も、打ち崩すことが困難な鋭いスプリットがある。打ち込まれても、すぐに気持ちを切り替え、安定したクローザーになってもらいたい。
B2000本安打目前の荒木雅博の役割
2017年04月22日
荒木雅博の通算2000本安打が迫ってきている。
今や、落合監督就任時代のレギュラーで1軍にいるのは、荒木と岩瀬くらいなので、早く2000本安打を達成して、低迷するチームを軌道に乗せてもらいたい。
実は、本塁打50本以下で通算2000本安打を達成した選手はまだいない。
日本プロ野球で通算2000本安打以上を放った選手は、2017年4月現在、47人いるが、その中で最低本塁打数は、宮本慎也の62本だ。
そうそうたるメンバーが集まっている通算2000本安打達成者たちは、主軸打者として活躍しており、パンチ力を持っていた。
そんな2000安打達成者の中に、現在通算33本塁打で入ろうとしているのが荒木雅博である。
シーズン最高本塁打は4本。打率も、3割に到達したのはジャスト3割で終わった1回のみである。
さらに過去のスタメンをさかのぼってみても、荒木がスタメンでクリーンアップに名前を連ねたのを見つけることができなかった。
1番打者か2番打者としての出場がほとんどで、そういった役割をずっと担わされてきたこともあるが、これだけ安打を重ねてきて、クリーンアップに抜擢されたことのない打者は珍しい。
荒木の打撃成績を見ていると、レギュラーとして最低限の成績は残してきている。2015年末現在の通算打率は、.268だが、二塁手で毎年それくらいの成績を残せれば、首脳陣も満足だろう。山田哲人の打撃成績が規格外なのである。
荒木の打撃は、一発の怖さこそないものの、状況に応じて左右に打ち分ける技術があり、特に右方向に内野手の頭の上を超えていく安打を放つ技術に長けている。
他の選手が打ちあぐねている投手も、荒木だけが安打を放つということがあるのもそのためだ。
そして、荒木には、誰にも真似できない二塁守備と走塁技術がある。さらに、大きな故障をしない丈夫さを持っている。
落合博満監督が築いた黄金時代の8年間のうち、すべての年で規定打席に到達したのは荒木のみである。落合が野手として荒木を最も評価したのは、レギュラーとして毎年しっかりと働き続けたためだ。
落合は、一貫いて守備を重視した監督で、内野の要として常に荒木、井端を中心に考えていた。投手を中心とした守りの野球で5度の日本シリーズ進出を果たし、そのすべてに荒木は貢献したのである。
太く短く輝く者もいれば、細く長く続ける者もいる。どの世界でも最も重宝されるのは、長期間に渡ってある程度太く輝き続ける者だ。
放っておいても、確実に安定した実績を残してくれる者が多ければ多いほど、未来を計算しやすいからである。
中日で言えば、まさに荒木がそんな存在であった。
黄金時代の中で最も地味な野手だった荒木が最後までプレーしているというのは興味深い。それだけ体調管理、技術、人格が優れており、球団からも必要とされている証である。
そんな荒木も、2017年には40歳を迎えるのだが、荒木の守備にはまだ衰えが見えない。盗塁数こそ減ってはいるが、スピードにも衰えがほとんどない。
動体視力や疲労の抜け方など、年齢を重ねるうえでどうしても避けて通れない衰えはあるだろうが、荒木には、選手としての姿勢を後輩に背中で見せながら、中日が再び黄金時代を築き上げるまで1軍でプレーし続けてもらいたい。
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