@WBCは、早期敗退しても選手批判は禁物
2017年03月04日
いよいよ来週、WBCが始まるが、日本代表の弱さが話題である。
練習試合で4戦1勝3敗という体たらくを見せてしまったためだ。
あくまで調整のための練習試合だから、という言い訳は成り立つが、投打ともにいまいちなので心配である。本番にピークを持ってくるように調整していると信じるしかない。
一流のプロ野球選手は、公式戦の開幕に状態がピークになるよう調整していく。WBCは、まだ寒さが厳しい3月上旬にピークに持ってこなければならないということで、かなり調整は難しい。
無理をすれば故障してしまうし、のんびりと調整すれば試合で思うように体が動かない。
それに、野球は、番狂わせが起きやすいスポーツだ。WBCが始まる前までは、大リーグのあるアメリカが圧倒的な強さでずっと連覇をしていくものと思われていたが、現実は、まだ1度もアメリカは優勝していない。
オリンピックを見ていると、多くの競技は優勝候補筆頭の選手やチームが金メダルを獲得するが、優勝候補筆頭の選手やチームがなかなか金メダルを獲得できない競技も存在する。
野球は、明らかに後者の存在である。
強いチームが勝つとは限らない、という野球の怖さを知ったのは、2005年である。2005年に新規参入した楽天は、悲惨なほどの弱さで最下位に沈み、38勝97敗、借金59という記録を作るが、交流戦では前年セリーグを制覇した中日を3タテしたのだ。
どんなに強いチームでも3試合やれば1回の割合で負ける。それが2、3回重なってしまうと、取り返しがつかなくなるだけに、野球の短期決戦は難しいのだ。
今回の日本代表は、チーム全体が不振となれば、1次リーグ敗退の可能性もある。
もし、そうなっても、プロ野球ファンの方々には、単なる偶然の産物さ、と受け流してもらいたいものである。北京五輪のときは、不振に陥った選手がいろいろと批判されて、聞くに堪えなかっただけに、教訓としてもらいたい。
とはいえ、日本の投手力と機動力をしっかり生かせれば、2大会ぶりの優勝も可能性は大いにあるので、期待しながら見たい。
A一向に改善されないWBCの組み合わせ
2017年03月11日
WBCで日本代表が好調である。大会前の状態では1次ラウンド突破も危ないように見えたが、ふたを開けて見れば、投打がかみ合ってB組で3連勝の1位通過である。
それでも、短期決戦の怖さは、A組に表れていて、世界ランキング3位の韓国が敗退するという波乱が起きた。
イスラエルがオランダ、韓国、台湾を破って、3連勝で1位通過というのにも驚かされた。
イスラエルは、さほど野球が盛んな国ではない。前回の第3回WBCで初めて参加し、予選敗退している。世界ランキングも出場国中最下位の41位である。
なので、イスラエルは、てっきり1次ラウンドで敗退するものと予想していた。
逆にランキング最下位のイスラエルがこのまま勝ち上がっていけば面白いのだが、日本も、2次ラウンドで対戦するだけに、脅威である。
2、3人の優れた投手がいれば、短期決戦は勝ち上がっていける可能性が高いだけに、いくら世界ランキング最下位だと言っても、侮ることはできない。
それにしても、WBCでは1次ラウンドで対戦した国と2次ラウンドでも対戦するという状況は一向に改善されていない。
個人的には1次ラウンドと2次ラウンドを統合して各チーム7試合ずつを行って2チームが準決勝に進むスタイルの方が良い。
WBCで日韓戦が見られないのは想定外で、これぞWBCという感覚がないまま2次ラウンドが終わってしまいそうである。
せっかく4年に1度のWBCなのだから、多くの国との試合が見たい。同じ国と最大3度対戦するという組み合わせの見直しをしてもらいたいものだ。
BWBC決勝ラウンドの平日開催に改善を
2017年03月18日
WBCの日本代表が好調である。1次ラウンド、2次ラウンドとそれぞれ全勝で突破し、決勝ラウンドに進んだ。
戦前の状態からこの結果を想定することは難しいほど、大会に入ってからの好調ぶり、特に打線の好調さが目につく。
一流プロ野球選手の調整能力の高さを見せつけられた気分である。
とはいえ、1次ラウンドの11-6で勝ったキューバ戦、2次リーグの4-1で勝ったオーストラリア戦は、ともに安心できる試合ではなかった。
2次リーグの8-6で勝ったオランダ戦、8-5で勝ったキューバ戦も、手に汗握る接戦であった。
準決勝以降は、負けたら終わりの一発勝負であるだけに、1つのプレーが勝敗を分けることになる。
決勝ラウンドで、私が残念に思うのは日程が平日になっていることである。
日本代表が出場する準決勝2試合目は現地時間21日(火)18:00で日本時間の22日(水)10:00開始。決勝が現地時間22日(水)18:00で日本時間の23日(木)10:00開始。
いずれも平日の午前に試合が開始されるというサラリーマンにとっては観戦が困難な時間帯である。
アメリカの2次ラウンド終盤が土日に来る設定となっているので、アメリカが高い確率で試合のある2次ラウンド終盤に照準を合わせたのだろうか。
アメリカの基準ではそうなるのかもしれないが、大会としては2次ラウンド、準決勝、決勝と進むにしたがって、価値は上昇していくべきものなので、やはり準決勝や決勝はリアルタイムで見たい。
今後、改善の余地があるとすれば、準決勝を土曜日の別時間帯に行い、決勝を日曜日に開催することである。
どうしても時差があるので、完璧な調整は困難としても、可能な限り平日の勤務時間帯に準決勝と決勝があるというのは避けてほしいものである。
C北京五輪を思い出させるWBCの重圧
2017年03月25日
第4回WBCは、アメリカの初優勝で幕を閉じた。
第1回大会で、アメリカが審判の力を駆使してまで優勝しようとした光景を目の当たりにした私としては、まさに悲願と呼ぶにふさわしく思える。
アメリカとしては、かつてプロバスケットボール選手が五輪に初出場した際、圧倒的な実力で金メダルを獲得したイメージで第1回大会からずっと連覇するつもりだっただろう。
なのに、第1回大会から日本が連覇、第3回大会はドミニカが優勝するという想定外の事態が起きた。
打ち切りがしきりにささやかれるようになった第4回に優勝するとは皮肉なものである。
アメリカの優勝により、アメリカでもWBCは盛り上がったようで、観客動員も100万人を突破したとのことで、今後もWBCが継続していきそうな雲行きである。
日本代表も、大谷不在で、日本人大リーガーも青木のみという状況で、戦前の不振によって1次ラウンド敗退の可能性もありながら、よく準決勝まで勝ち残った。
第1回大会から4大会連続で準決勝以上にコマを進めている唯一の国であり、実力は本物と言っていいだろう。
準決勝で菊池や松田がミスを犯した場面は、さすがに北京五輪のG.G.佐藤を思い出してしまった。あの重圧こそが優勝候補筆頭として、日本中の期待を背負った宿命だろう。
日本シリーズのような大舞台を経験していてもミスが起きてしまうのだから、国際大会の重圧は計り知れない。慣れろと言っても、重圧を感じなくなるほど数をこなすことは難しく、ある程度数をこなしたら、実力が下り坂で代表に選ばれないという世界であるから、克服は容易でない。
準決勝以上に進んだ国の中でも、とりわけ日本は、重圧で硬くなっているのがプレーにはっきりと表れていた。日本では、野球人気が高く、また国際試合となると国民がこぞって日本代表を応援するということもあって、メディアの盛り上がりも別格であるため、日本代表選手にかかる重圧は半端なものではない。
他の国々がさほど重圧を感じずに伸び伸びとプレーしているように見えるため、日本も、代表選手に過度な負担をかけないような体制を目指したほしいものである。
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