2015年11月のブログ

犬山 翔太
 
 @ドラフトは見ている誰もが結果を分かるくじに変更すべきだ

2015年11月07日

 ドラフト会議2015は、どこの球団がどの選手を指名したかよりも、ヤクルト真中満監督のガッツポーズだけが記憶に残るドラフトになってしまった。
 明治大学の高山俊外野手を阪神とヤクルトが1位指名したのだが、抽選で引いたくじに押されていたNPBの印鑑を交渉権確定と勘違いしてガッツポーズしてしまったのである。
 この勘違いは、これが初めてではない。2005年にも2回、同じようなことがあった。

 2005年の高校生ドラフトのとき、既にくじのやり方に問題があることは分かっていた。
 この年、大阪桐蔭高校の辻内崇伸を巨人とオリックスが1位指名し、抽選となったが、交渉権確定を意味する印字はなく、NPBの印鑑だけが押されたくじを見たオリックスの中村勝広GMが当たったと勘違いしたのである。
 そして、福岡第一高校の陽仲壽(岱鋼)を日本ハムとソフトバンクが1位指名し、抽選となったが、ソフトバンクの王貞治監督が当たったと勘違いしたのである。

 2005年の教訓は、全く生かされておらず、2015年のくじには、左側に『DRAFT2015 リポビタンD』というNPBの印が押してあったため、真中監督は交渉権確定だと勘違いしてしまったのである。
 実際の当たりくじには、右側に『交渉権確定』と押印してあり、事前に説明はあったのだが、勘違いしやすい作りになっていたことは、2005年の前例を見ても明らかである。

 私の知人は、「はずれくじには大きく『はずれ』と書いておかないからだ」と言っていたが、日本中が注視する緊張感の中、くじを引いた者が『はずれ』を交渉権獲得の内容と見間違えてしまう可能性もある。
 はずれくじには、NPBの印を押さなければいい、という意見もあるが、微妙に暗い会場の中、くじを引いた者が何か書いてあると勘違いしてしまう可能性もある。
 つまり、当事者1人しか結果が見えないところに、根本的な問題点があるのだ。

 真中監督のような勘違いを防ぐには、くじを開けた瞬間、会場やテレビで見ている誰もが即座に結果を分かるようにすれば良いのである。
 そのためには、たとえば、当たりの場合だけ、『交渉権確定』の立札を入れた箱にしておき、それ以外の箱は空にしておく。
 抽選では、箱を選んでその前に立ち、箱を開けて『交渉権確定』の立札があれば、当たりとしておけばよい。
 同時に結果が分かるようにして盛り上げるには、机に箱を被せた形状にしておき、被せた箱を上げれば、机の上の立札が現れる仕組みにしておけば、瞬時にどちらが交渉権を獲得したかが判別できる。
 どうせ、NPBは、自らの印鑑とスポンサー名を見せたいだけであろうから、それは箱の外側に表示しておけばよいのである。


 A大島洋平の年俸アップはオレ流サプライズなのか

2015年11月14日

 2015年の契約更改も始まり、中日は、早速他チームよりも速いペースで契約更改が進んでいる。早く翌年に向けて気持ちを切り替えて練習に励むためには、早ければ早いほどいい。
 中日は、3年連続Bクラスという厳しい成績に終わったため、今年も厳冬更改が続きそうである。成績が悪ければ、過去の功労者に対しても容赦なく減俸する落合GMをはじめとする球団の査定は、実績値と期待値を兼ね備えた一貫性がある。

 そんな中、2015年のオフに注目したは、大島洋平の年俸がどうなるかであった。大島は、2014年、活躍をしながら年俸がさほど上がらなかった。

 2013年のオフに大きく年俸が下がったのは、チームの成績がAクラスからBクラスに転落し、常勝チームとしての恩恵が得られなくなったことも大きい。
 そのうえ、毎年安定した成績を残せないのと守備率が悪化したことが大きく年俸が上がらない原因だったと考えられる。

 大島が2015年の成績は、2013年より少し良い程度であるため、私としては、下がる可能性もあり、最高でも現状維持と見ていた。
 しかし、ふたを開けてみれば、1600万円アップの9000万円となった。これには、大島本人も目を丸くしたほどのサプライズで、他の球団であればダウン提示だった可能性が高い。

2012年:144試合、打率.310、1本塁打、13打点、32盗塁→7500万円
2013年:140試合、打率.248、3本塁打、27打点、19盗塁→5625万円
2014年:141試合、打率.318、2本塁打、28打点、28盗塁→7400万円
2015年:142試合、打率.260、6本塁打、27打点、22盗塁→9000万円

 その理由としては、落合GMから4年連続規定打席到達を誉められたという話からも分かるように、きっちりレギュラーを守り続けていることが大きい。
 大島は、4年連続で140試合以上に出場しており、しかも外野では守備の負担の大きいセンターで広い守備範囲を誇っていることから、そこの評価次第で大きく変わってくる。

 2015年は、セリーグ外野手でナンバー1のレンジファクターを誇っており、昨年見かけたレフト藤井との連携の悪さも影を潜めた。守備面については昨年よりも大きく改善しているのである。

 さらに打撃面では打率こそ下げたものの、本塁打数が増加しており、盗塁は減ったものの成功率は上がり、犠打数も増えている。

 そして、中日のセンターとしては、走好守のすべての面で大島がリードしている印象があり、代わりとなる選手が育っているわけではない。
 ドラフトでも、育成の6位で渡辺勝を指名したのが唯一の外野手である。
 今後、大砲の外国人外野手と契約を結ぶ可能性はあるが、ドラフトで外野手に力を注がなかったことは、来年の大島に対する期待もかなり大きいと見てとることができる。

 一般的にはオレ流サプライズに見えるものの、守備力と継続力と成長を査定で高く評価したため、はじき出された年俸と見るのが妥当だろう。

 昨年の契約更改で粘った大島には、2015年に粘りの打撃を期待したのだが、肩透かしをくらってしまった。
 2年連続で3割を打てば、1億円の大台も狙えただけに、もったいない成績に終わったが、このオフは、思わぬアップということで、すっきり一発更改で終えた。
 来年は、秋山翔吾の216安打超えを目標にするようなので、ぜひとも達成して軽く1億円を超えてもらいたい。


 B守備の名手 平田良介がなぜゴールデングラブ賞に選出されないのか

2015年11月21日

 現在、セリーグで最も守備が上手いライトはと言われると、私は、まず平田良介が浮かぶ。飛球に対して一直線に落下点に入る正確さ、前後左右へ打球を追う俊足、そして、走者を刺せる正確な強肩。
 それらを兼ね備えたライトである。落合博満GMも、監督時代「一番守備がうまいのは平田」と評するほどだ。

 しかし、不思議なことにまだゴールデングラブ賞に縁がない。2015年はそろそろ獲得するのではないかと思っていたのだが、結果は47票で6位と意外なほど低かった。
 トップの福留孝介の157票とは大きく差が付いてしまっている。体型のせいか平田は、パンチ力ある打撃の人という印象が世間に浸透している感がある。

 マートンに3票入るほどなので、記者の主観が大きく入ってしまう賞であることは間違いないのだが、それにしても、もうちょっと選考基準が何とかならないものなのかなと思ってしまう。

 現在、5年以上現場で取材している記者たちの選考で決まることになっており、すべてが主観で決まる。
 1試合(9イニング換算)あたりの刺殺数、補殺数、失策数、併殺数、さらには守備率などを基準に入れてもよさそうなものだが、そういう客観的な基準が一切排除されているのだ。

 客観的な基準と言えば、アウト寄与率(RF、レンジファクター)とアルティメット・ゾーン・レーティングも、注目を集めている。

 アウト寄与率(RF)=(刺殺+補殺)÷ 守備イニング数 × 9
 アルティメット・ゾーン・レーティング(UZR)=「リーグにおける同じ守備位置の平均的な選手が守る場合に比べて、守備でどれだけの失点を防いだか」

 ただ、メディアで話題に上ることはまだかなり少ないのが実情である。事実、2014年の平田良介は、外野手としてセリーグナンバー1のアウト寄与率を誇ったのだが、ゴールデングラブ賞の投票では6位であった。
 2015年の平田は、アルティメット・ゾーン・レーティングが大島、梶谷に次ぐ成績を残しているのだが、ゴールデングラブ賞の評価に反映されているとは言い難い。

 そのため、現在のゴールデングラブ賞は、守備がたいして上手くなくても、そこそこ守備が上手いというイメージが世間にあり、多くの試合数をこなし、優れた打撃成績を残した選手が選ばれる傾向にある。

 さらに、外野のゴールデングラブ賞を奇怪にしているのは、レフト、センター、ライトという3つの守備位置別に分かれていないということである。
 内野は分かれているのに、外野が分かれていないというところに、外野はどこでも似たようなものという安易な見方があるように思われる。

 確かに、現代のような細かい野球が求められていなかった時代であれば、外野を一括りにしても仕方ないが、現代の野球はしっかりポジション別に分けるべきだろう。
 2015年は、センターの丸と大島、ライトの福留が選出され、レフトは誰も選出されていない。

 データで様々な指標が導き出される現在、そろそろ客観的な指標の導入と守備位置別の選出を行ってもらいたいものである。



 Cプレミア12 決勝ラウンドはリーグ戦にできないのか

2015年11月28日 16:59

 プレミア12は、準決勝で日本代表がまさかの9回表4失点で敗戦となり、銅メダルに終わった。
 その責任は、小久保監督に集中し、大谷を7回で降板させた采配、則本を2回引っ張った采配に批判が集まっている。

 9回の4失点は、いずれも結果論であり、大谷が9回まで続投していても9回に打たれたかもしれないし、則本を9回頭から松井や増井に代えていたところで勝っていたとは限らない。

 ただ、球数制限がないプレミア12であるがゆえに、7回まで1安打に抑えていた大谷を完投させていた場合が最も勝算があっただけに、ここまで批判が巻き起こっているのだろう。
 完投させて、それが原因で故障しては元も子もないため、監督の采配はどう転んでも批判の的となりやすい。

 則本の2イニング目も先頭打者か2人目の打者を抑えていれば、勝てた可能性は高く、結果的に連打を許してしまったのは、そのときの運もあるので、継投した松井、増井も含めて、すべての巡り合わせが悪かったと言わざるを得ない。

 私がそれよりも問題だと感じるのは、日本が7勝1敗という成績ながら3位という成績に終わってしまったことである。
 優勝した韓国が6勝2敗なので、日本は韓国に負けた1敗だけで優勝を逃してしまったことになる。

 一発勝負の怖さと言ってしまえばそうなるが、せめて予選で8チームではなく4チームか6チームに絞って、決勝ラウンドをトーナメントではなくリーグ戦にしてほしかった。

 現在のやり方では、1人調子の悪い投手がいたら、優勝できないという仕組みになっており、かなりギャンブル性が高い。
 盛り上げるための興行としては、トーナメントが最も効果が高いことは理解できるのだが、チームとしての総合力が高い国が優勝してほしいという想いの方が強い。
 今回の日本代表は、最高勝率を残し、チームとしての総合力が他の国を圧倒していただけに、決勝ラウンドの仕組みに少し不満が残った。





(2015年11月作成)

Copyright (C) 2001- Yamainu Net 》 伝説のプレーヤー All Rights Reserved.


inserted by FC2 system