2015年10月のブログ

犬山 翔太
 
 @谷佳知の巨人移籍がもう少し遅ければという想い

2015年10月04日

 谷佳知が通算1928安打で現役を終えた。通算2000本に4番目に近い安打数で終えた選手となる。
 谷が古巣のオリックスに復帰したとき、私は、2000本安打達成は確実だと思っていた。長年オリックスに対して多大な貢献をしてきた選手であるし、2000本安打が近づけば、集客やグッズ収入で球団が潤う効果も見込める。

 それでも、達成できなかったということは、首脳陣が現状の谷の状態をシビアに見て判断したということだろう。
 谷は、2001年から2004年まで4年連続3割を達成し、2003年には189安打でシーズン最多安打を記録するなど、イチローが抜けたオリックスの看板打者だった。阪急時代から見てきた打者の中でも谷は、ベスト10に入る打者である。当時は谷以外の戦力が脆弱で優勝とは縁がなかった。
 巨人移籍でリーグ3連覇に貢献したものの、安打数のペースは落としてしまった。全盛期ならシーズン前半で軽く達成できるような安打数が、最後3年間かけても達成できないのが野球の難しさである。

 現在、通算2000本安打達成者は45人。そのうち、2000本以上2100安打未満で現役を終えた選手は、16人もいる。
 逆に、1900本以上2000本安打以下で現役を終えたのは、わずか5人である。
 本来は逆であってもいいはずの人数だが、それだけ2000本安打に価値があるという証だ。

 日米通算182勝で終えた石井一久が引退後、通算200勝にこだわらなかった理由に「何の特典もないから」と答えていた。確かに通算200勝を達成したからと言って、その後の人生で、金銭的な特典があるわけではない。

 だが、名球会という組織があり、200勝、2000本安打、250セーブという基準があるため、それを達成しているかいないかで、一種の格付けが行われていることも否めない。
 タレントとして活躍できるトーク力があれば別だが、そうでない限り、名球会の基準を達成できているかどうかによって、その後の仕事にも大きく影響する可能性は高いのである。

 現在、来年あたりに通算2000本安打の可能性がある選手としては、新井貴浩、福浦和也、井端弘和、福留孝介、荒木雅博あたりがいる。いずれも故障がなければ、遅くとも再来年には通算2000本安打が達成できそうだ。
 井端は、巨人の生え抜きではなく、現状はレギュラーでなく、さらには毎年大型補強をする球団に所属しているだけに、今後の状況次第では通算2000本安打が厳しくなってくる可能性がある。

 谷も、巨人に移籍せずにオリックスにずっと所属していれば、通算2000本安打を達成していたか。その問いには、かなり高い確率で達成していたと答えられる。
 選手としてピークを過ぎてから選手層が厚い巨人へ移籍することは、選手にとって大きな賭けとなる。谷の場合は、本人の意志というよりは巨人の獲得意志が大きかったようだが、2000本安打を逃した大きな要因が巨人移籍であったと思う。
 過去にも、2000本安打は確実だろうと思っていた広沢、江藤も巨人に移籍してから失速して2000本安打を逃している。

 仮にFAで移籍するとなると、究極の選択ともいえる状況が訪れる。巨人というブランドやリーグ優勝の喜びをとるか、2000本安打で名球会というブランドをとるか。
 もちろん、両方をとることも可能であり、落合、清原、小笠原らは、巨人で2000本安打を達成したが、2000本安打を狙うのであれば、巨人というブランドやリーグ優勝は捨てた方が確率は上がる。

 巨人のリーグ三連覇や2012年の優勝に貢献して栄光を味わった谷は、2000本安打は達成できなかったが、いい野球人生であったと思う。歴史にifは禁句だが、谷の巨人移籍がもう3年から5年後だったら、またはオリックス復帰がもう少し早ければ、2000本安打が達成できていたのではないかという想いだけがファンとしては心残りである。


 A中日が来季に向けて備えるべきこと

2015年10月11日

 中日のシーズンが終了した。
 2013年に高木守道監督の下、最下位に限りなく近い4位にまで急降下してから、この2年間は、立て直すための2年間のはずだった。
 しかし、現実は、足踏み状態に近い状況になってしまった。結果的に3年連続Bクラスである。

2013年:64勝77敗3分
2014年:67勝73敗4分
2015年:62勝77敗4分

 こう並べてみると、安定したBクラスのチームと言えなくもない。
 特に、ここ3年の最低成績に終わった2015年は、チームの各種成績を見ると、かなり分かりやすい結果が出ている。

得点数:5位
本塁打数:6位
打率:2位
犠打数:5位
四球数:5位
出塁率:3位

盗塁数:2位

防御率:3位
失点の少なさ:3位
奪三振数:5位
与四死球の少なさ:3位
セーブ数:6位
ホールド数:2位
勝利数:5位
敗戦の少なさ:5位
逆転負けの少なさ:6位

失策の少なさ:6位
捕逸の少なさ:5位

 まず、打撃面を見てみると、打率が2位であるにもかかわらず、本塁打数は6位で、四球数も5位である。そのため、得点力が低く、なかなか決勝点を上げることができなかった。

 シーズン中よく見たシーンがランナーが3塁まで進むにもかかわらず、一向に得点が入らないという状況である。チーム最多本塁打数が平田の13本では、なかなか得点に結び付かないのもうなずける。
 単打ばかりでは1イニングに3本以上打てなければ、得点に結び付かないことが多く、1本で確実に1点が入る本塁打はやはり重要である。
 打撃力が手薄とされていながらリーグ優勝した2004年ですら福留が23本、アレックスが21本、谷繁が18本と放っており、現在の状況より遥かによかった。
 貧打にあえいだ2011年もブランコが途中離脱して78試合出場ながら16本塁打を放って、逆転優勝に結び付けた。
 劣勢であったり、膠着した展開の中で、一撃で局面を変えられる打者がいないということが、決勝点を奪えないという惨状に陥っているのである。

 投手力については、防御率が3位でまずまずに見えるものの、セーブ数が6位、逆転負けの少なさが6位ということから見ても分かるように、リリーフ陣が固定できず、終盤に投手が崩れての敗戦が多かった。
 予想外にホールド数が多いのは、得点力が低いため、接戦の展開で中継ぎ投手の登板が増えたせいである。
 ホールド数が多いにもかかわらず、セーブが少なく、敗戦が多いということは、中継ぎ投手と抑え投手が投手リレーの中で打たれて負けてしまうことが多かったということである。
 先発も、若松が台頭したものの、大野は相変わらず負けが多く、山井・バルデス・八木・ネイラーも安定感を欠いた。吉見は、右肘の状態が万全ではなく、戦線離脱した。リリーフが安定しないから先発を引っ張って中盤から終盤に崩れてしまうというかわいそうな側面もあるが、若松・吉見以外は貯金できない粘りのない投球であったことは否めない。

 防御率のわりに敗戦が多かった更なる要因は、失策数が最多であったことだろう。投手を中心とした守りの野球を掲げながら、安心して見ていられるのはライトの平田とセンターの大島くらいという惨状であった。
 内野の要である遊撃手は、エルナンデスと遠藤が雑な送球でエラーを連発しており、三塁手のルナは、守備範囲が狭い上に捕球をうまくできないという難点があった。
 谷繁が大きく出場機会を減らした捕手は、捕逸や送球ミスが多く、リード面とともに谷繁不在の課題を浮き彫りにした。

 こう見てみると、評価できるのは、盗塁数くらいのもので、それ以外については、リーグ優勝できるレベルに到底達していないことが見て取れる。


 Bセ・リーグTVを作ってほしい

2015年10月18日

 2015年のクライマックスシリーズは、パ・リーグもセ・リーグもリーグ優勝した球団が快勝して幕を閉じた。
 パ・リーグは、3位のロッテがファイナルステージに進み、5年周期の下剋上を期待させたが、さすがに最強ソフトバンクの戦力と1勝のアドバンテージ、ビジターという不利を覆すことはできなかった。

 今年のペナントレース、クライマックスシリーズを振り返ってみて思うのは、パ・リーグの方がインターネットに適したサービスを提供してくれているということである。

 その最たるものがパ・リーグTVだ。パ・リーグTVは、2007年からパ・リーグの全球団の試合を配信するようになったのがはしりで、2012年からはパ・リーグTVという名前で、パソコンやスマホ、タブレットで視聴できるようになっている。
 Yahoo!の試合情報のページでは、試合の重要な局面が後から視聴できるため、多くの人々に知られている。私も、パリーグの試合のハイライトは、そこで視聴するのが日課である。
 パ・リーグTVの公式サイトでは、さらに多くの場面が無料で視聴できるようになっていて、後から試合のハイライトだけでなく、試合前後のイベントやインタビューも楽しむことができる。
 たとえば、クライマックスシリーズファイナル初戦ではChageの国歌独唱も聴けるし、橋本環奈の始球式も見られる。さらに、ソフトバンクのCS突破後のビールかけも楽しむことができる。

 有料の申込みをすれば、試合をライブで視聴することができるため、パ・リーグファンにとっては、最高のサービスとなっている。

 しかし、残念なことに、セ・リーグは、こうしたサービスがない。セ・リーグはいまだ放映権の問題でパ・リーグのように足並みをそろえることが難しく、なかなか安価で試合のライブ映像を配信したり、無料でハイライト映像を配信してくれない。

 球団によっては、個別でやっていたりするのだが、全体としては「プロ野球チャンネル セ」がいくつかの球団のハイライト映像を配信していたのだが、2015年にはなくなってしまった。
 どうやら広告収入が伸びなかったことが原因らしいのだが、セ・リーグもスポーツ界の雄としての立場が地盤沈下を起こしているだけに、目先の利益だけにとらわれている時代でもなくなった。また、インターネットでの評価がそのまま世論に直結する時代にもなってきている。

 今後のセ・リーグ発展のためには、パ・リーグTVのようにセ・リーグTVを構築し、パソコンやスマホ、タブレットをターゲットにした配信をセ・リーグ一丸になってやってほしいものである。


 C八百長の起きない野球くじを望む


2015年10月25日

 巨人で福田投手、笠原投手、松本投手の3人が野球賭博を行っていたことが判明し、プロ野球界が揺れている。

 巨人は、日本プロ野球で最も伝統があり、また最も優勝回数が多い球団である。球界の盟主とも言われる球団で起きた不祥事だけに衝撃が大きかった。
 3人の選手は、敗退行為をしていなかったとしても、不祥事に対する昨今の厳しい事情を考えると、かなり厳重な処分が科されるはずである。

 プロ野球界では1969年から1971年にかけて黒い霧事件で多くの選手が処分を受けた。
 特に永久追放となった池永正明は、西鉄のエースであり、そのまま現役を続けていれば、200勝はおろか300勝はできたのではないかとさえ思える好投手であった。
 池永は、お金を押し付けられて、返せなかったという事情があったようで、八百長に関与していた可能性は低く、現在でも池永の永久追放を惜しむ声は多い。

 今回の場合、プロ野球界を代表するような選手が関わっているという情報はないため、黒い霧事件のように発展することはなさそうだが、何らかの手立てを講じないと、今後も同じような事件を繰り返すことになる。
 野球選手を厳しく教育して、処分も厳しくするのもいいが、私としては、野球くじの実現を求めたい。つまり、サッカーのtotoのような合法的なくじを作ってもらいたいのだ。totoはJリーグ選手が購入できないようだが、野球くじを野球選手が購入できなくするかどうかは内容によって議論が必要となる。八百長が極めて困難な方式にしてしまえば、野球選手が購入することも可能になる。
 勝敗を予想する場合は、敗退行為の危険があるため、実現が困難だが、「totoGOAL3」「totoGOAL2」のように総得点数を当てるくじであれば、実現できるのではないか。

 プロ野球の全6試合の総得点数を当てるのであれば、八百長をすることは事実上無理なはずである。総安打数にしてしまえば、さらに八百長が不可能な域に達する。

 合法的な賭博ができるから、従来の野球賭博がなくなるとは限らない。だが、合法的な賭博を実現することによって、敢えて非合法な賭博をすることへの抑止力が働くと考えるからである。


 D資金力格差を埋めるために優遇策を

2015年10月31日

 2015年の日本シリーズは、ソフトバンクの圧倒的な強さが際立った。
 何せソフトバンクはチーム総年俸が約47億円。ヤクルトが約27億円だから、圧倒的な差がついてしまうのは普通に考えれば仕方がない。とはいえ、あまりにもあっけないシリーズに、何か打開策を考えてみたくなった。

 プロ野球は、公平と不公平が入り乱れていて、不公平がまだまだ多い。もちろん野球のルールは、公平だが、本拠地とする球場の広さは公平ではない。ドラフトは、公平になっているが、それ以外の選手獲得は不公平で、資金力のある球団が圧倒的有利となっている。

 2015年のソフトバンクは、本拠地のヤフオクドームを改造し、テラス席を設けて本塁打を出やすくしたため、本塁打が急増し、打線が活発化した。
 さらに、圧倒的な資金力で分厚い戦力を保持し、2軍がそのまま1軍に来てもリーグ優勝争いできるのではないかと思えるほどとなった。

 ここまでソフトバンクの強さが圧倒的だと、さすがにペナントレースやクライマックスシリーズ、日本シリーズの面白さが減じてしまう。
 圧倒的に強い1チームを他の球団が一丸となって倒そうとする構図は、V9時代の巨人や1980年代後半から1990年代前半の西武についても言えたが、当時の巨人や西武がある程度、自前で育てた選手が主力であったのに対し、現在のソフトバンクは、豊富な資金力で集めた選手たちが主力となっている比重が大きい。

 12球団1のソフトバンク約47億円と最下位の横浜DeNA約23億円の格差を何とか埋める方策を考え出した方がプロ野球を面白くできるはずである。
 同一リーグで10億円以上の総年俸格差がついている場合、総年俸下位球団に、1軍の外国人選手枠を1人増やすといった優遇策があってもいい。
 そんな優遇策をとったところで、下位球団は格安の外国人しか雇えないのだからあまり差が縮まらないかもしれない。だが、プロ野球の勝負を面白くするためには、格差を埋める手立てが必要だ。そう感じた日本シリーズであった。







(2015年11月作成)

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