2014年8月のコラム

犬山 翔太
 
 最近は、コラムとしてサイトに掲載するよりも、そのとき考えたことをブログ『プロ野球音魅力を語る』に書くことが多くなっている。
 ブログのバックアップも兼ねて、支持の多かった文章をまとめておきたい。

2014年08月31日

  @8月に記録的な負け越しをした中日には育成と補強が急務

野球は、予想だにしないことが起きるから面白いし、怖くもある。
軟式高校野球全国大会の準決勝では、延長50回という想像を絶した試合になって、硬式野球も含めたタイブレーク制が現実味を帯び始めている。

ここのところ、高校野球の話題でもちきりだが、プロ野球でも8月は想像だにしない結果が起きている。

7月末まで46勝44敗でリーグ優勝も狙える位置にいた中日が8月に入るや、故障者が続出してチーム状態が大きく悪化した。和田、岩瀬、エルナンデス、森野が故障で離脱、一度は復帰したエース吉見は再離脱、セットアッパー浅尾は不調で2軍。
選手が揃わなくなって、投打の歯車も狂ってしまい、7勝20敗という記録的な負け越しをしてしまったのである。

ここまでよく踏ん張っていたと言えばそれまでだが、今年は、首脳陣の入替によって躍進が期待されていただけに、残念な結果ではある。
しかし、2006年の原監督就任1年目が前政権のチーム状態を引きずり、5位に終わったように、今年は、前政権の負の遺産が残っているため、チーム状態は上向きとはいえ、優勝を狙うには酷な状況でもある。

真価が発揮されることになるのは、今の谷繁政権の2年目ということになる。
現在のセリーグのチーム状況は、打率や防御率が拮抗していて突出したチームがなく、戦力の層が厚い巨人が少し総合力で上回っている程度である。
つまり、今年のオフのチーム作り如何によっては、どのチームも来年のリーグ優勝を狙えるようになる。

中日としては、弱点は明らかである。勝ち星がなかなかつかない不安定な先発陣の立て直し。
そして、シーズン30本塁打以上を打てて、チームの雰囲気を変えられるような四番打者不在からの脱却である。

落合政権下では、前半には川上、山本昌がいて、後半には吉見、チェンという安定して勝ち星を稼いでくれるエース級が2人以上いた。
また、四番打者としても、前半はタイロン・ウッズ、後半はトニ・ブランコがいて、いつでも一発で試合を決めてくれる期待感があった。

高木政権が2年間ですべてを崩してしまった今、強かった時期を取り戻すにはまだまだ時間がかかりそうだが、チームの核となるエース級2人と四番打者をそろえないと、なかなかリーグ優勝には近づかない。
エース級投手は、できれば新人投手か若手投手の中から、コントロールと球威を兼ね備えた投手を育ててエース級に仕上げてほしい。
30本塁打以上打てる四番打者は、さすがになかなか見つからないだろうから、外国人選手で変化球に強くてパンチ力のある大砲を見つけ出してほしい。

巨人の原政権は、2年目で見事に立て直してリーグ優勝を果たしているだけに、谷繁政権の2年目は今から期待しておきたい。



2014年08月30日

A甲子園での1日の試合数を増やすという案

夏の甲子園では、三重高校の今井投手が1回戦から決勝までの全試合に先発したため、投げ過ぎと注目が集まっている。

毎年のことだが、エースが絶対的であった場合、どうしても連投連投となるので、毎年のように投げ過ぎが物議を醸すことになる。すべての投手が大学野球やプロ野球等へ進むわけではないが、それでも甲子園に出てくるということは素質がある投手ばかりなのだから、全選手の将来性を考えていくことが必要だろう。

私としては、WBCのような投球数の制限がいいのではないか、と考えていたが、ここのところ、甲子園単独開催をやめて複数球場で試合を行う形式が話題に上っている。

確かに、球児の将来を考えれば、甲子園と京セラドーム大阪とほっともっと神戸の3球場くらいを舞台として開催した方が日程に余裕が出て、連投を防ぐことができる。

しかし、この方法には問題が多い。高校野球と言えば、伝統ある甲子園で試合をすることが最大の目標となっているため、県大会を制したのに、くじ運が悪くて甲子園で試合をできなかった、というのは大きな落胆を招いてしまうだろう。
また、複数球場を長期間借りるとなると、予算の問題も出てきてしまう。

聖地甲子園以外でも試合をする、という考え方は、結局のところ、多くの国民の賛同を得られそうにない。

そうなると、甲子園でどのように日程をやりくりするか、を考えた方がいいだろう。
私としては、甲子園での1日の試合数を増やすという考え方に変えた方がいいように思う。
つまり、朝早くから夜遅くまで試合を行う方式に変えるのである。朝は、観客の電車の問題はあるが、午前6時半頃から第1試合をはじめ、試合間の隙間も圧縮することで、円滑に運用し、さらにナイターとなる日暮れ後も試合を継続し、午後9時から10時くらいまで試合をすることにすれば、1日6試合を行うことが可能である。

そうすれば、日程に余裕ができて、少なくとも3回戦と準々決勝の間に1日か2日、準々決勝と準決勝の間も1日か2日、準決勝と決勝の間も1日か2日開けることができるのである。

投球数制限だと選手層の薄い高校から苦情があるだろうが、1日の試合数を増やす日程調整ならさほど苦情は来ないはずである。


2014年08月17日

B高校野球の球数制限を考えさせられた広陵高校の延長サヨナラ負け

田中将大投手が右肘を故障してから、投手の球数が気になるようになった。

田中投手は、これまでの経歴から、高校時代の甲子園での酷使、楽天時代の酷使が故障の遠因となったことが報じられている。確かに高校野球は球数制限なく投げさせられるし、楽天時代の最後も、連勝記録や日本一のためにシーズンや日本シリーズで必要以上の酷使をさせられていた感がある。そして、今年は、大リーグで中四日のフル回転ということもあって、どんなに丈夫な投手でも、故障は避けられなかったに違いない。

投手の故障を減少させるには、高校野球、日本プロ野球、大リーグのそれぞれで改善が必要なのだ。

その中でも、日本の高校野球における酷使は、将来性ある投手を潰してしまう可能性が高く、早期の改善が望まれる。

この夏の甲子園でも、広陵高校の吉川投手は、8月13日の三重高校戦で、延長11回裏まで1人で投げ抜き、最後は2死満塁から抑えが利かなくなった直球が高めに浮き、押し出し四球という悲劇的な形で敗戦投手となった。
この結末には、あの怪物江川卓投手が雨中の延長押し出しサヨナラ四球という伝説の試合と重なるものがあった。江川が負けた試合は、延長12回裏1死満塁のピンチで、激しい雨の中で制球を乱した江川が投げた169球目が高めに浮き、サヨナラ負けとなった。

広陵高校の吉川投手がこの試合で投げた球数は、169球。延長11回で終わったものの、仮に延長15回まであったとしたら、200球を超える球数を1人で投げ抜いていたのではないだろうか。

吉川投手が絶対エースだったのかどうかはさておき、信頼できるエースが存在するチームの場合、2番手以降になかなか交代するという選択肢を采配でとりにくいのが実情である。
勝つ可能性を上げるためには、延長戦が長引いてもエースを続投させざるをえず、将来性ある投手を酷使して将来の故障のリスクを高めてしまうことになる。

多くの選手は高校で選手生命を終えるため、一概に論じることは困難ではある。だが、少数であっても、その後、プロ野球や大学・社会人野球で活躍する選手がいる以上、球数制限および連投制限の導入が必要だと思う。

そうなると、2番手・3番手投手がなかなか育たないチームや、部員が少なくて野手が2番手・3番手投手も兼任しなければならないチームもできてくるが、私としては、一瞬の栄光よりも、長い目で見た有益を優先してほしいと望む。


2014年08月10日

C故意に当たりにいく行為には処分が必要だ

8月5日のDeNA×巨人戦で、巨人の小林捕手が打席で2度にわたって、左肘を前に突き出して、当たりに行ったプレーが物議を醸している。

8回には久保の内角の変化球に肘を出して当たりに行き、9回にはソトの直球に肘を出して当たった。
スロービデオで見ると、いずれもボールの軌道に合わせて肘を出しているが、8回はボール判定、9回は死球判定となった。

死球判定にはさすがの中畑監督も抗議していた。

久保の投球も、ソトの投球も、肘を出していなければ、内角ぎりぎりにストライクと判定されてもおかしくない投球だった。
最近の選手は、肘当てをすることが多く、内角球にも踏み込んで、当たってもいい、というタイプが多くなった。それについては、落合博満も、打者の質の低下や故障のリスクを高めているとして批判している。

考えてみると、投手にとって故意にあたりに来られる打者をどうすることもできない、という不利がある。
故意に当たっても、その多くは死球と判定されるし、仮に死球と判定されなかったとしてもボールと判定される。

投手は、打者の頭に当ててしまえば、一発で危険球退場という処分があるのに、打者には故意に当たりに行っても、ボールか死球という打者有利の判定しかない、という問題がある。

これを防ぐためには、やはり故意に肘を出して当てたことが分かれば、打者も一発退場の処分が必要である。
現在ではビデオ撮影を簡単にリプレーできるので、怪しいプレーには、審判団が協議してビデオ判定を行えばいいのだ。

DeNAのソト投手は、小林への死球をきっかけにして押し出し四球で失点しており、非常に気の毒なプレーとなった。
現状では、明らかに投手不利となってしまい、ルールに偏りがあるから、早期の改善を期待したい。





(2014年10月作成)

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